書いても書いても書いてはいない。
書いても書いても書いてはいない。
星野廉
2022年7月7日 08:21
何かに追いかけられて必死で走る夢を見たことがありませんか。
走っても走っても、走っていないようなのです。一生懸命に(命を懸けて)足を動かし手を振っているつもりなのにぜんぜん進んでいないのです。つまり、あがき、もがいているだけ。
これは駆けても駆けてもじつは駆けていないとも言えます。賭けても賭けてもは賭けていないと激似ではありませんか。もどかしい限りです。
気に掛けても掛けても、じつは掛けたことにはならない。絵を描いても描いても、じつは描けてはいない。文章を書いても書いても、じつは書いてはいない。
隔靴掻痒の遠隔操作。まるで夢の中。知覚機能を用いる限り対象には触れることができない。言葉を使う限り直接的に森羅万象を相手にすることはできない。
駆けても駆けても駆けてはいない。掛けても掛けても掛けてはいない。掻いても掻いても掻けてははいない。書けても書けても書けてはいない。要するに、そういうことです。
どう足掻いても藻掻いても現実にたどりつけない私たちは、覚めた夢の中にいるのかもしれません。
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